なぜ銀行員はクレジットカードをあまり持たないのか
おはようございます。
資産運用学教授の長岐(ながき)です。
私は、銀行員だった経験に基づき、お金に関する基本的なことを分かりやすく、お伝えしていきます。
銀行員がクレジットカードを持たない理由
銀行員は、基本的には自分から進んでクレジットカードをつくることはありません。
銀行員にとっては、クレジットカードは商品の一つなのです。
つまり、「お客さまにつくることを勧めるもの」であって「それによって銀行が儲かるはずの商品」なのです。
クレジットカードをつくってもらえれば、
「現金が足りなくても、カード払いで買い物ができるから、どんどん利用額が増える」
「高金利のキャッシングも、気軽にしてもらえる」
となり、カード会社にとっては「オイシイ」ことばかりが起こるのです。
ですから、カード会社は、銀行に対して顧客にクレジットカードの作成を薦めてくれるように依頼をし、一件当たり高額の紹介料を銀行に支払っています。
銀行にとっても、リスクはゼロで紹介料が入るという、やはり「オイシイ」金融商品の一つなのです。
「こんなに便利なクレジットカード、ぜひ作りませんか?」
と親切そうに勧められても、その言葉をうのみにしてはいけません。
勧めている人たちは決して「あなたの生活を便利にしたい」と思っているのではなく、「この商品を売って儲けたい」と考えているのですから。
クレジットカードには“3つの罠”がある
クレジットカードは現金が手元になくても買い物ができるという、いわば魔法のカードです。
持っていれば便利であることは間違いありません。
なのになぜ、銀行員はクレジットカードを持とうしないのでしょうか。
その理由は、まさに便利さの裏側にあります。
そこには大きな3つの罠が待ち構えているのです。
① 「自分がいくら使ったのかがわからなくなる」という罠
カードで支払いを済ませると、財布の中のお金は減りません。
使った分は一月分がまとまって翌月以降に請求されます。
手元のお金が減らないと、人は誰でも気が大きくなります。
もっと使っても平気かな?まだまだ使えるかな?と、カードの限度額ぎりぎりまで買い物をしてしまうということが起こりがちです。
そして、請求時にその支払いをするだけの預金残高が無くて、キャッシングでそのお金をひっぱってくる・・・絵に描いたような「悪循環」の始まりです。
② 「自分の行動や嗜好が盗みとられてしまう」という罠
いつ、どこで、何を買ったのか?
いつ、どんなお店で、何を食べて、いくら使ったのか?
カードを使うたびに、あなたの消費行動はデータ化され、カード会社の情報として蓄積されていきます。
情報を手に入れたカード会社は、それに応じて販促活動を行うことができるのです。
よく外食をする人には、新規オープンのレストランのお知らせを。
デパートで化粧品を買った人には、新商品のお披露目会への招待状を。
ワインを買った人には、ボジョレー・ヌーヴォーの予約のご案内を。
あなた好みの、あなたの気を引くようなお誘いのメールやDMが次々と送られてきます。
それを見て、ついつい買う予定のなかったものまで買ってしまい、またそれが情報として保存され、新たなお誘いにつながって・・・と消費の連鎖が続きます。
本当に欲しいものならともかく、DMを見たばかりに欲しくなってしまったというのでは、カード会社の手中にいつの間にかはまってしまっているということになりますよね。
③ 「とりあえず、キャッシングしておこう」の罠
クレジットカードによるキャッシングは、この頃では銀行のATMやコンビニエンスストアでも行えるようになり、いつでもどこでもお金が借りられるようになりました。
あまりにも手軽なので、借りる方も、借りているという感覚はあまりなくて、自分の貯金からお金を引きだしているような錯覚に陥ってしまうようです。
ですが、クレジットカードのキャッシングの金利は、いわゆる消費者金融のコワイ借金と同じくらい「高金利」になっています。
キャッシングというのは「高金利の借金」であることを忘れてはいけません。
「今すぐ10万円借りても、返済は翌月からでOK。しかも、毎月の返済は5000円からで大丈夫!」
そんな言葉にうっかり乗らないように気をつけてくださいね。
リボ払い(分割払い)には、手数料や金利かしっかりとついてきます。
毎月せっせと返しても、金利分が減るだけで、なかなか元本の返済は進まないのです。
借りたお金をすっかりきれいに返済するためには、想像以上の時間が必要になります。
キャッシングというのは、その都度「高金利の借金」の借用書にサインをして印鑑を押しているのと同じことなのだと肝に銘じておきましょう。
持つクレジットカードは「1枚だけ」にしよう
クレジットカードの危険な罠を考えると、諸悪の根源のようにも思えてきますね。
もちろん使い方次第なので、いたずらに怖がったり拒否したりする必要はありません。
現代社会では、持っていることで信用が生まれるという場面もあります。
そこでオススメは、よく使う1枚だけを残して、あとは解約するということです。
まだ1枚も作っていない若い方なら、勧められるままにつくるのではなく、慎重に見極めて自分にとって最良の1枚を選びましょう。
1枚に集約するメリットとしては、ポイントを集中させることができることや、いくら使ったのかの管理を1枚の明細書でできるということなどが挙げられます。
デパートや商業施設ごとの割引などもあり、それぞれのカードを使わないともったいないというふうに感じる方もいらっしゃると思いますが、カードを複数枚持っているというリスクに比べると、そのメリットはとても小さいことだと思います。
*この記事以外にもコラムをアップしています。その他コラムはインベスターズギルドのコラムサイトでご覧ください。http://investorsguild.jp/column/banker-creditcard/
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