銀行員だけが知っているお金の“ウラの常識”

おはようございます。
資産運用学教授の長岐(ながき)です。
私は、銀行員だった経験に基づき、お金に関する基本的なことを分かりやすく、お伝えしていきます。
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お金の常識のオモテとウラ

お金に関して巷でよく言われているいわゆる一般常識を「オモテ」の常識と考えた場合、銀行員だけが知っているお金の「ウラ常識」というものがあります。その最たるものが定期預金に関するものです。

 

(オモテ)

「ボーナスはぜひ定期預金に!

定期預金に預ければ、普通預金に比べてずっとお得ですよ」

 

ボーナスシーズンになると、おつきあいのある銀行からこんな風に勧められた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

ところが、これは銀行員の企業の一員としてのオモテの発言です。

個人の「ウラ」の顔では、

 

(ウラ)

「定期預金には、絶対にお金を預けない」

 

と考えています。

 

あんなに熱心に勧めるのに?と驚かれる方も多いでしょう。

でも、熱心に勧めているのはあくまでもオモテの顔。ウラの本音では「他人には勧めても、自分では定期預金にお金を預けない」 と考えるのが銀行員というものなのです。

なぜ定期預金は避けるべきなのか

では、それはなぜでしょう?定期預金は、元本が保証されているので預けたお金が目減りすることはありません。

絶対に損をしない安全な選択だし、少しずつでも利息がつくからプラスじゃないの?と思われるかもしれません。

 

ですが、現在の平均的な定期預金金利をご存知ですか?

 

1年以上預けて、ネットバンクで0.3%、メガバンクで0.03%という数字です。

 

金利の数字を考える時には「72の法則」という計算方法を使ってください。

これは「72を金利の数字で割って、出た答えが、預けた金額が倍になるまでの年数を表す」というものです。

 

例えば100万円を預けて倍の200万円になるのにどれくらいかかるのか?と考えた場合、現在のメガバンクの金利だと

 

72 ÷ 0.03% = 2400

 

と、2400年もかかってしまうということになります。

そんなにかかっていては話にならない!と思いませんか。

 

逆からも考えてみましょう。あなたの計画では、例えば定年を迎える20年後までに今あるお金を倍にしたいと考えているとします。

そうするためには金利何パーセントの商品が必要なのでしょうか。

 

72 ÷ 20 =3.6

 

つまり、金利が3.6%見込める金融商品であれば、20年後に預金額が倍になるというわけです。

 

現在の日本の銀行の定期預金で、金利が3.6%を超えるものなど見つかりません。

1980年代後半から1990年代前半までのバブル期には、金利が年5.0%という時期もありました。その頃なら

 

72 ÷ 5 =14.4

 

ですから、15年弱で倍になるという計算になります。

今でも「定期預金は、なんとなくお得」と考えている人は、もしかしたらこのバブル時の記憶をいまだに忘れられないでいるのかもしれません。

定期預金には当然リスクもある

今見てきたように、定期預金は「元本が保証されている」という安全の代償として、金利が低く設定されているものなのです。

だから、お金を効率よく増やしたいと考えている人にはまったく向かない金融商品だと言えるのです。

 

さらに、信用リスクの問題もあります。

信用リスクというのは、銀行が破産・倒産した場合に、預けていたお金が一定額以上は戻ってこなくなるという恐れのことです。

 

銀行だって倒産する可能性があることは、いまや常識となっていますよね。

平成10年に破たんした北海道拓殖銀行の例もあります。

 

銀行が倒産した時に預金者の預金を守るための制度に預金保険制度、いわゆる「ペイオフ」があります。

ペイオフとは、一つの金融機関について元本の1000万円とその利息までは保護されるというものです。

 

その範囲に収まるようにと、一つの銀行への預金は1000万円までと決めて、複数の金融機関に分けて預けている方も多いことと思います。

ですが、それでも絶対に安心できるというものではありません。

ペイオフが、今後永遠に本当に実効的であるかどうかは不透明 であると言わざるを得ません。

 

というのも、20年くらい前にはたくさんあった都市銀行や地方銀行が合併を繰り返して今のようなメガバンクとなった経緯があるからです。

今後も、合併や再編が行われる可能性は十分にあります。

 

そうなったときには、一行への預金額の上限うんぬん・・というペイオフ制度はあまり意味のないことになってしまうかもしれません。

 

つまり定期預金といえども、元本損失のリスクがゼロというわけではないということです。

 

このような要素を考えた上で、多くの銀行員は「定期預金をしない」ことを選択しているのです。

銀行員にとっては、定期預金は「利息はなかなか増えないのに、信用リスクは高い」ものであり、せっかくのまとまった金額を預ける価値のないものなのです。

 

「定期預金に預けるだけのお金があるのなら、他のもっとお金を増やすことのできる金融商品にお金を移したほうがトクだ」と考えているのが銀行員の「ウラ」の顔、すなわちホンネというわけです。

 

 

*この記事以外にもコラムをアップしています。その他コラムはインベスターズギルドのコラムサイトでご覧ください。http://investorsguild.jp/column/bankers-knowledge/

 

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